こんにちは!「うなぎ昇り小松園」、「十一代目うなぎ佐市右衛門」を運営しております小倉です。
夏が近づくとスーパーの魚売り場に「うなぎ」の文字が増えてきますね。
あの香ばしいタレの香りと、とろけるような脂ののり
思わず手が伸びてしまう、日本の夏の風物詩ですよね〜
でも最近、「ちょっと高くて手が出ないなぁ…」と感じたことはありませんか?
実はうなぎの値段が高くなる背景には、
私たちが普段知ることのない養殖現場の努力と、資源保護の厳しい現実があるのです。
この記事では、
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うなぎ養殖の知られざる現場
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なぜうなぎは高くなっているのか
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安全性の確保や環境への配慮
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賢いうなぎの選び方
について、わかりやすくご紹介します!
1. プロの技術が支える、うなぎ養殖の舞台裏
うなぎの養殖は、実は非常に繊細で高度な技術が求められる世界。
養殖のスタート地点は「シラスウナギ(稚魚)」の確保です。シラスウナギは現在の技術ではまだ完全人工繁殖が難しく、天然の個体を冬から春にかけて捕獲し、養殖場へ運ばれます。
そこから始まるのが「餌付け」。最初は赤虫などの生餌を与え、徐々に人工餌に慣れさせていきます。この時期の生存率は低く、養殖業者の経験と勘がものを言います。
6ヶ月から1年かけて出荷サイズまで育てる間、成長に応じた選別や水温の徹底管理(25〜28℃)が繰り返されます。夏は冷却、冬は加温が必要で、エネルギーコストも馬鹿になりません。
さらに近年では、閉鎖循環システムによって水を再利用する養殖法も登場。AIを活用した餌やり管理や、ワクチンの開発など、技術革新が日々進んでいます。
そして出荷前には「土抜き」と呼ばれる工程が。数日間清浄な水で餌を与えずに育てることで、泥臭さを取り除き、より美味しく仕上げます。
2. 「なぜこんなに高いの?」うなぎの価格と安全への取り組み
うなぎが高くなる一番の要因は、シラスウナギの希少性と高騰です。
毎年の漁獲量は減少傾向にあり、漁期や漁獲量にも厳しい制限が。1kgあたり数百万円という年も珍しくありません。
さらに、養殖場では24時間体制で水質を管理。わずかな汚れが全滅に繋がるため、高度な設備と人手が必要です。
安全性にも多くのコストがかかっています。
国内の優良養殖場では、抗生物質を最小限に抑え、HACCPなど国際基準に基づく管理を実施。なかでも「GAP(農業生産工程管理)」の取得は、品質の証でもあります。
国産うなぎはこうした安全基準のもとに管理され、トレーサビリティ(生産履歴の追跡)が整っています。輸入うなぎの中には安全基準が不明確なものもあるため、「安さだけ」で選ばず、表示や原産地をしっかりチェックしましょう。
3. 高騰の背景にある、うなぎ業界の課題と挑戦
価格高騰の背景には、構造的な問題があります。
先ほど述べたシラスウナギの激減に加え、生存率の低さ(約70%)、高騰する餌代(魚粉)、人件費やエネルギーコストの上昇など、あらゆる要素が価格に影響しています。
そんな中でも業界は持続可能な養殖を目指し、挑戦を続けています。
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天然稚魚に頼らない「完全養殖」の研究(※実用化にはもう少し時間が必要)
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AIやIoTを活用した効率的な給餌・環境管理
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日本・中国・韓国・台湾などによる国際的な漁獲制限と資源管理
…など、未来にうなぎを残すための取り組みが各所で進んでいます。
4. 安心・安全なうなぎの選び方
消費者として安心してうなぎを楽しむには、「見極める目」が大切です。
✅ 国産かどうかを確認
国産うなぎは、日本国内の厳格な基準下で生産されており、トレーサビリティも明確です。
✅ 認証マークをチェック
「GAP」「HACCP」などの認証を取得したうなぎは、信頼できる養殖場で育てられた証です。
✅ 安さだけで選ばない
価格が安い=お得とは限りません。品質や安全性も大切な判断材料です。
【まとめ】
うなぎは、ただ「高級だから」ではなく、
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資源の希少性
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養殖の難しさ
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安全性への配慮
…など、多くの要因が重なって今の価格になっています。
ですが、その背景を知れば、うなぎ一尾のありがたみがもっと感じられるはず。
土用の丑の日だけでなく、季節を問わず味わえる「日本の伝統食材」として、
安全・安心で美味しいうなぎを、ぜひ賢く選んで楽しんでください!