焼き場の日常や、うなぎを仕上げる仕事をご紹介する読みものです。
炭が真っ赤になった。
でも、小松園では、まだうなぎをのせません。
焼き始める前に、もう一度、炭を見ます。
真っ赤でも、まだ焼かない
一か所だけ強く燃え上がっていないか。
反対に、火の弱いところはないか。
真っ赤に燃えた炭を、火力ができるだけ均一になるように、もう一度並べ直します。
うなぎを同じ場所へ置いて、同じ時間だけ焼けば、いつも同じ仕上がりになる。
うなぎは、そう単純ではありません。
一匹ずつ、身の状態が違うからです。
だから小松園では、焼き始める前に、まず火を整えます。
うなぎを動かす前に、炭を動かす
身の状態に合わせる時、基本になるのは炭の配置です。
火の強いところ、弱いところを見ながら炭を動かし、焼く場所の熱をそろえていきます。
経験を重ねると、どこへ炭を置けばよいかが、感覚ですぐに分かるようになります。
それでも火が強すぎれば、うなぎの身が一気に縮み、出てきた脂で火が燃え上がりやすくなります。
そんな時は、うなぎを火加減の弱い場所へ移す。
あるいは、炭の配置を変える。
その一匹に合わせて、火と向き合っていきます。
煙も、味のうち
真っ赤な炭へ、脂やタレが滴る。
そこから立つ煙が、うなぎの身を包みます。
その煙が、炭火焼きでしか感じられない独特の香りと風味につながります。
ただ、強い火で焼けばよいわけではありません。
身を急に縮ませず、脂やタレが生む香りを生かせるように、火を整える。
焼き始める前から、味づくりは始まっています。
夏だけのもの、で終わらせない
うなぎは夏に食べるもの。
そう思っている方も多いかもしれません。
けれど、季節に背中を押されなくても、
「今日は、大切な人と、ちゃんとおいしいものを食べたい」
そんな日はあります。
小松園では、ふっくらとした関東風と、香ばしい関西風をご案内しています。
今日は、どんな口あたりを楽しみたいか。
二つの仕上がりを見比べながら、お好みの一品を選んでみてください。
次に、大切な人と何を食べようか迷ったら。
そのひと口の向こうで、真っ赤な炭を整えている仕事のことも、少し思い出していただけたらうれしいです。





